オンライン取材とは、簡単に言えば、コンピューターに接続し、情報を送受信できる状態で取材することを言います。
オンラインでは今、テレビ会議やセミナー配信、オンライン飲み会、オンライン帰省、stay home用のコンテンツ配信など、さまざまなコミュニケーションが盛んです。
言うまでもなく、外出の自粛、社会的距離=2mの保持、"3密"の回避など、コロナ感染の拡散防止が背景にあります。
弊社スタッフは、会社設立以前から45年にわたり、テレビニュース報道取材、ビジネス取材など、取材を基本にしたコンテンツの制作及び社会事業を行ってきました。
そこで今回は、コロナ拡散防止策を契機に、新たな時代の取材法として大変貌を遂げようとしている【オンライン取材】について、あれこれ考えてみます。
これはオンライン上での会議や、友だちとのミーティングなどにも汎用性があるので、参考にしてください。
取材する側・される側共通
・パソコン(ノート、ディスクトップどちらでも可)
・スマートフォン ・タブレット
※上記のうち、いずれか1つを選ぶ。
・マイク(できれば、ヘッドホン付きのマイクがおすすめです。
相手の声の調子が、かなりリアルに読み取ることができ、
自然と会話が弾みます。)
・WEBカメラ(通信機器に内臓されている場合や、
音声のみで良い場合は不要)
・WEB会議ツール(Zoom、Skype、WebEx、LINE などのソフト。
通信機器にインストールし、会員登録を済ませておく。どれか1つの
ソフトがあればいいが、取材相手と同じものを使う必要あり。)
・安定した高速インターネット回線(インターネット接続が不安定
・低速な場合、音声や映像が途切れる場合あり。)
取材する側が用意すると良いもの
・画面録画ソフト(Zoom、Webexなど1部のWEB会議ツールには
録画機能あり)
録画方法 | WEB会議ツールを使う場合 |
・開始時にweb会議ツール内の録画ボタンを押す。ほとんどの ツールで画面下部に、赤丸の◎(録画ボタン)がある。または 設定を行う画面に、録画機能が入っていることが多い。
・動画の保存先は、終了時に選択することが多い。詳細は、 各ツールによって異なるので、それぞれのヘルプを参照する。
・Windows10の場合 :
(Windowsキー + G キーを同時に押すと、スクリーンショット や音声の調節、画面を録画する、などの操作画面が出るので、 キャプチャーのパネルから録画ボタンを押すと録画ができる。
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事前にWEBカメラを調整しよう
あらかじめ何のアプリを使用するかを決め、取材する側は事前に社内で
接続テストをして、音量が適切であるか、映像に映った自分の姿は適切か、などをチェックしましょう。
取材先を見下ろしていたり、斜めに写っていたら、相手に不快な印象を与えます。
逆光で顔が真っ暗だとか、明るすぎて白飛びしているなどの不具合は、事前にテストすれば、位置を変えるなどですぐ防止できます。
取材の直前は避け、
少し前に相手と
通信テストをしよう
可能であれば、事前に取材先のパソコンとの通信テストをやっておきましょう。簡単な挨拶を交わしておけば、当日の緊張感も緩和できます。
相手が不慣れな場合で、アプリの操作方法も知らない場合があります。その際は、丁寧に説明しながら、アプリをパソコンにダウンロード、設定してもらいましょう。
この設定は、取材の直前にしないことが良い取材につながる秘訣です。
例えば相手にアプリがない場合、パソコンに慣れた世代は「この招待URLをクリックすれば、自然にダウンロードが始まって自動設定ができる。簡単だから大丈夫」と考え、メールでURLを知らせて、細かな説明を省略しているケースがほとんどです。
しかし、このようなやり方はやめて、取材先には決め細かな対応をしましょう。
取材相手には、より丁寧な気遣いをしよう
緊急事態宣言下で、テレワークで取材を受ける場合、相手はオフィスでの通常作業よりも、ナーバスになっています。
● 例えば、自宅でオンライン取材を受ける場合
・自宅の様子を知られたくない(背景に写るから、
子どもが乱入するかもしれないから)。
・対面だったら気にしないけれど、カメラ越しの対面は
不快だと思っている。
・家族のことが心配だから、短時間で済ませたい。
・自宅のパソコンや回線状況があまり良くないから、
迷惑かけるかも、など。
● オンライン取材を受ける側の心理は
・相手は、社内の様子がどのくらい映るのか気になるものです。
背景の画像は一緒に考えてあげる、くらいの気持ちで接しましょう。
・画面の明るさには、十分気をつけましょう。くれぐれも暗くなりすぎ
ないようにしましょう。
・相手は、"画面に顔を出す"ことが嫌で気恥ずかしい、と思っている方が
結構います。したがって、多少なりとも緊張しています。緊張すると、
発想も言葉も固くなりがちです。取材する側が相手を和らげ、柔軟な
会話ができるように務めましょう。
・オンラインでのやりとりは、相手に対し丁寧すぎるぐらいの思いやりで
行いましょう。
また、周到な取材の準備をしておくと、インタビュー
もスムーズに行きます。
質問は簡潔にしよう(例えば…)
取材の準備の中でも、特に力をいれたいのが、質問内容のチェックです。
ことばの数をなるべく減らし、簡潔でわかりやすい質問にしておくことが大事です。
オンラインに慣れている若者たちは別として、慣れていない方たちも多いのですから、簡潔明瞭なわかりやすい言葉づかいで、緊張をほぐしながら話題に花を咲かせたいものです。
モニターに映る自分の顔のサイズに
気をつけよう
若い世代やYouTuberの映像を見慣れている方は、顔の割合が、画面の1/2程度を占めても違和感がないかもしれません。
しかし、取材で初めてモニターで対面する場合は、圧迫感のない1/3程度が話しやすいと思います。
特に、自分の顔を映像にすることに慣れていない方は、通話中にめったに見ない自分の表情に動揺しがちです。
「自分の顔が気になって、会話どころじゃない」そう思っている方がいることも念頭におきましょう。
ちなみに、顔の割合が1/3程度のサイズは、自分の背後が広く映るので、取材する側も、される側も、周囲の整理・整頓が必要です。
開始前の、リマインドを心がけよう
通常の取材でも当然ですが、事前の挨拶「明日はよろしくお願いします」、「5分後から始めたいと思いますので、よろしくお願いします」などこまめに伝えて、始める前から安心感をもっていただきましょう。
まだまだオンライン取材に慣れていない方が沢山います。
聞き手の顔の表情で、取材は盛り上がる
インタビューで、いかに相手の面白い話を引き出すかどうかは、聞き手の顔の表情と、言葉にかかっています。相手は、聞き手の表情を瞬時に感じ取って、話を進めていきます。
要は、聞き手も試されているのです。相手は、「今話したことを、聞き手はどう感じているか」、そんな思いでインタビューに望んでいます。
リアクションとして「面白い!」「とってもいい話!」「少しつまんない!」など、相手が話しているのを言葉でさえぎらず、顔の表情で相手に伝わることが、インタビューを盛り上げる大きな要因です。
なお、対面取材の時よりもモニターを使ったオンライン取材時は、少しオーバーな顔の表情のほうが、相手に伝わるでしょう。
写真・書類を、“画面で共有する場合”に、備えよう
オンライン取材では、パソコン画面を共有して、取材する側、される側が、写真や書類を見るケースがあります。
特に取材される側は、いつパソコン画面が見られてもいいように、整理しておきましょう。
第3者に見られてはいけないような資料や、クライアント名がついたフォルダ等が丸見えになっていませんか?
メール・ソフトも開きっぱなしになっていませんか?
取材時に、間違って違う写真や書類を見せてしまいがちなので、注意しましょう。
パソコン画面は、これまで以上に "パブリックスペース"という意識を持つことが必要でしょう。
録画・録音することを、相手に伝えよう
ほとんどの通信アプリは、同時録画や録音が可能です。ただし、黙って録音してはいけません。必ず録画・録音することを相手に伝えましょう。
また、録画・録音したものの扱い方も、きちんと話しておきましょう。
トラブルを避けるために、事前に文書でお伝えしておいて、当日も、冒頭で手短に説明しましょう。
相手が拒否したら、録画・録音は絶対にしてはいけません。
マイク・映像のオン・オフ
切り替えに注意しよう
オンとオフの切り替えを忘れると、マイクがミュート状態になっていて声が聞こえなかったり、逆にミュートにし忘れることで、咳やくしゃみ、外の騒音、相手に聞かれては困る会話などが、聞かれてしまうことがあるので注意しましょう。
取材が終わったら、「本日はありがとうございました。では退出します(クリック)」と、こちらから確実に通信を切断しましょう。
相手によっては、「どうやって切るのかなぁ」と不安げにしている場合もあります。そういう時は、「退出ボタン、ご存じですか。右下にありますよ」と、親切に教えてあげると、和やかな雰囲気で終了できます。
終了時に、通話を切り忘れた例です。
(例)上半身しか映らないからと、上はネクタイ姿、下はパジャマで
参加した際に、通話を切り忘れた
状態で立ち上がり、下がパジャマ
だとバレてしまった。
※オンライン取材は、人としての
信頼を得て行うことが、
何よりもトラブルを防ぐ
最大のポイントです。
メリット
従来の取材では、取材者側は相手先まで出かけていく時間や費用、場合によっては宿泊費などが必要です。
一方、オンライン取材では、海外とも楽にコミュニケーションできます。
どんな遠隔地でも、インターネットの電波が通じていれば、格安で取材が可能なのが大きな魅力です。
採用現場では、オンライン面接が、企業側にも応募者側にも、時間・費用等のコスト削減で大きなメリットがあります。
また、取材者に嬉しいのは、音声や録画記録、音声起こしがとても楽になることです。
これまでは、ICレコーダーや、ビデオカメラなどの設置など、機材をいくつも持っていく必要がありましたが、パソコン、あるいはスマートフォン1台あれば、可能なのです。
例えば「Zoom」などのアプリでは、無料版でも音声記録と録画記録が可能です。
従来の取材法に比べ、オンライン取材のほうが、信じられない程、身軽に行えます。
デメリット
従来の対面取材時のように
“ 相手の顔色を見る ” “ 空気を読む ” といったことが、難しくなりがちです。
いわゆる「ノンバーバル(非言語)コミュニケーション」の部分は、かなり縮小してしまいます。
ヘッドフォン付きのマイクをつけると、声の調子はかなり読み取ることができます。
しかし、多くの人は、カメラに映し出されることに不慣れなので、ぎごちない態度になりがちです。
取材相手を和ませるなど、これをほぐすテクニックが、取材者には求められます。
オンライン取材で、動画のコンテンツをつくる場合、最大のネックは、自分の好きなようには相手や雑感(周囲の状況)取材はできません。相手にお願いすることになりますが、充分な話し合いの上に行ってください。